公開: 2019年7月25日
更新: 2019年7月xx日
日本政府は、産業界からの要請を受けて、派遣労働に関する法律を改正し、従来は派遣労働として労働力を提供できる仕事の分野が限定されていた規制をゆるめ、企業の大部分の仕事を派遣労働者が担当できるようにしました。これによって、工場の生産現場などでの派遣労働の利用が増加し、日本企業における労働コストの低減につながりました。しかし、このことは、派遣労働を利用する企業の正規従業員の雇用を減らす結果となり、いわゆる「就職氷河期」と呼ばれる時代を生み出しました。この時代に大学を卒業した高い人々の3分の1近くの人々が、正規社員としての就職ができず、派遣労働者として働くことになりました。このことは、派遣労働者の仕事の安定性を脅かし、さらに、厚生年金への加入、日本企業では普通の定期昇給や年功による昇進などの機会が奪われました。さらに、不安定な派遣労働では、業務経験の蓄積が難しく、高齢化しつつある就職氷河期世代の派遣労働者の場合、「雇止め」後の再就職が難しくなってきています。ヨーロッパの先進社会と比較すると社会保障制度が貧弱な日本社会では、将来、就職氷河期世代の人々が高齢化したときの生活を、国家としてどう支援するのかが大問題になるでしょう。